ポイント還元制度などの口コミ促進施策における主な法的留意点は、以下の3つの法律に関する規制です。
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景品表示法
- ポイント還元やキャッシュバックは「景品類」に該当し、還元率に上限規制があります。
- 懸賞や抽選でポイントを付与する場合は、付与ポイントの上限が厳しく定められています。
- 口コミ投稿を条件にポイント還元や割引を行う場合、投稿内容が事業者の関与による「事業者の表示」とみなされると、ステルスマーケティング(ステマ)として違法となる可能性が高いです。消費者に広告であることが判別できる表示が必要です。
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資金決済法
- ポイントサービスが「前払式支払手段」に該当する場合、未使用ポイント残高が一定額(1,000万円)を超えると届出義務が生じます。
- ポイントの払戻しは原則禁止で、例外的に「やむを得ない事情」がある場合のみ認められます(例:地域限定ポイントの利用困難など)。
- ポイントに有効期限を設ける際は、短すぎる期限や利用者への注意喚起不足に注意が必要です.
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消費者契約法
- ポイント制度の規約が消費者に一方的に不利益を与える内容であれば無効となる可能性があるため、利用規約の内容には配慮が必要です。
また、税務上の取扱いとしては、ポイント還元が消費税の課税対象となるかどうかは、取引の性質(資産の譲渡、役務の提供など)により判断されます。
以上を踏まえ、ポイント還元や口コミ促進施策を実施する際は、
- 景品表示法の還元率上限や表示義務を遵守し、ステマ規制に抵触しないよう透明性を確保すること。
- 資金決済法の届出義務や払戻し禁止ルールを守り、ポイントの有効期限設定やサービス終了時の対応を適切に行うこと。
- 消費者契約法に基づく利用規約の適正化を図ること。
が重要です。これらの法令違反は行政指導や罰則の対象となるため、専門家の助言を得ながら制度設計・運用を行うことが望ましいです。
