WordPressマルチサイト運用時のセキュリティ注意点
WordPressマルチサイトは、複数サイトを一元管理できる利便性がある一方、セキュリティリスクも標準サイトより高くなります。以下に、権限管理、SSL個別適用、早期復旧体制の観点から、特に注意すべきポイントを整理します。
権限管理
- 必要最小限の権限付与
各ユーザーには、業務内容に応じて「投稿者」「編集者」「管理者」など必要最小限の権限のみを付与しましょう。管理者権限の乱発は、不正アクセス時の被害拡大リスクを高めます。 - アカウントの個別管理
アカウントの共有は避け、誰が何をしたかトレースできる体制を整えます。退職者や外部スタッフのアカウントは速やかに停止・削除する運用ルールも重要です。 - 内部不正・権限拡散の防止
権限管理を徹底することで、内部不正や権限の拡散によるセキュリティリスクを低減できます。
SSLの個別適用
- SSL証明書の設定
マルチサイト環境では、サブドメインごとにSSL証明書を個別に適用するか、ワイルドカード証明書を利用する必要があります。wp-config.phpにFORCE_SSL_ADMINやFORCE_SSL_LOGINを設定し、全管理画面・ログインを強制的にHTTPS化します。 - データベース内URLの更新
SSL化後は、データベース内のURLをhttpからhttpsに一括更新するSQLクエリを実行する必要があります。 - DNSレコードの適切な設定
サブドメイン運用時は、AレコードやCNAMEレコードの設定も正しく行い、各サイトが正しくSSL化されていることを確認します。
早期復旧体制
- 定期的なバックアップ
マルチサイト全体の定期的なバックアップは必須です。1つのサイトが侵害されると全サイトに影響が及ぶため、バックアップからの迅速な復旧が可能な体制を整えます。 - マルウェアスキャンの実施
毎日のマルウェアスキャンなど、異常を早期に検知する仕組みを導入します。侵害が発生した場合、速やかにクリーンアップできる体制も重要です。 - 監視・ログの活用
不審なアクセスや変更を監視し、ログを残すことで、インシデント発生時の原因追及と再発防止に役立ちます。
その他のセキュリティ対策
- WordPress・プラグイン・テーマの最新化
コア・プラグイン・テーマは常に最新状態に保ち、未使用のものは削除します。 - セキュリティプラグインの活用
マルチサイト対応のセキュリティプラグイン(例:All In One WP Security)を導入し、ログインページのURL変更や画像認証、XMLRPC対策などを実施します。 - 強固なパスワード運用
パスワードは複雑なものを設定し、定期的に変更します。
まとめ
WordPressマルチサイトのセキュリティは、権限管理の徹底、SSLの適切な個別適用、早期復旧体制の構築が特に重要です。これらを組み合わせて運用することで、マルチサイト特有のリスクを最小限に抑えることができます。
