日本のサプリメント市場における消費者の特性
- 年齢・性別による利用傾向
サプリメント利用者は女性60代が最も多く、次いで女性40代、男性40代と続きます。また、一人あたりの年間購入金額は女性60代、70代、男性70代が高く、高齢者層が市場の中心となっています。 - 利用目的と意識
健康食品・サプリメントの摂取目的は「免疫力の向上」が多く、特にコロナ禍以降は健康意識が高まり、女性50代以上の摂取率が上昇しました。一方で、若年層（10～30代）は「利用を増やしたい」意向が他の世代より高いものの、実際の摂取率は低い傾向にあります。 - 継続意向と離脱理由
全体では「現在と同じくらい利用したい」が約7割を占めますが、「利用を減らしたい」「やめたい」と回答する層も一定数存在します。離脱理由は「価格が高い」「効果が低い・低そう」「副作用が心配」が多く、特に高齢者層で「利用を減らしたい」意向が強いです。 - 安全性・信頼性への関心
消費者は「製品の成分に対する安全に関する不安」「服用中の薬との相性」「品質・成分・メーカーの安全性への取り組み」を重視しており、科学的根拠（エビデンス）を求める傾向が強まっています。
広告効果の課題
- 信頼性の醸成
サプリメントに価値を見出さない、または摂取に不安を覚える層が一定数存在し、業界全体での信頼性向上が課題です。消費者は効果や安全性に関する情報を求めており、ラベル表示や広告の透明性・信頼性確保が重要です。 - 広告表現の適切性
健康食品の表示や広告が消費者に適切に理解されていない実態があり、メディアリテラシー教育の必要性も指摘されています。機能性表示食品制度を活用した効果効能の訴求が可能ですが、過剰な表現や誤解を招くマーケティングは消費者不信を招くリスクがあります。 - 世代別・媒体別のアプローチ
高齢者層には新聞広告やチラシなどの紙媒体、体験型イベントが有効ですが、若年層にはSNSやWebを活用した情報発信が求められます。また、医師や栄養士など専門家との連携による推奨も信頼性向上に寄与します。 - 価格競争とコスト高
原材料・製造コストの高騰による価格改定が続いており、価格が継続意向に大きな影響を与えています。初回お試し価格の設定やポイントプログラムなど、価格訴求とリピート促進の両立が課題です。
まとめ
日本のサプリメント市場は高齢者を中心に堅調ですが、消費者は効果・安全性・価格に敏感です。広告効果を高めるには、信頼性の確保、適切な情報提供、世代や媒体に応じた訴求、価格戦略の工夫が不可欠です。業界全体で透明性を高め、消費者との信頼関係を構築することが今後の成長の鍵となります。
